絵画に先祖返りした友禅−染額
幼い頃、親から与えられたクレヨンで画用紙に何やらウネウネと絵らしきものを描く…その行為は、芸術への目覚めといえば大袈裟ですが、素直な喜びであったことは間違いありません。
それが洗練されると「絵画」となり、さまざまな技法が編み出されます。
水彩、油彩、テンペラ、フレスコ、日本画等、古今東西いろいろな描き方が考案されました。もちろん芸術などという概念がない時代から、絵画はありとあらゆるシーンに存在したのです。
たとえば染色の世界。染色は普通、布地に色をつける技法のことですが、発展していくと単色から多色、そしてより絵画に近いものまであります。
最も絵画に近いものといえば友禅でしょう。友禅とは江戸時代の扇絵師である宮崎友禅斎から名付けられたものであり、創始者が絵師なのですから、絵画になるのは無理もありません。もちろん友禅は着物のためのものですが、額に入れて絵画と楽しむことも、考えてみれば何の不思議もないわけです。それが「染額」です。
絵画から染め物へ、そして染め物から絵画へ…。絵を描くことに、幼い頃、素直な喜びを味わったように、素直な気持ちでこれらの「染額」を楽しんでみてはいかがですか?
和楽多屋スタッフ:MORI