和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

ゆっくり味わう、夢二の世界。

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叙情と浪漫をたたえた夢二の絵は、時を超えて愛され続けています。
いわゆる「夢二式美人」と呼ばれる美人画で知られる竹久夢二。その愁いを帯びた表情と細身で優美な曲線を描く姿態。そして独特な色づかい…それはまさに大正浪漫の時代を生き、時代を創った夢二の世界です。

一時は中央画壇への憧れもあったようですが、あくまで夢二は大衆の人気に支えられた人でした。書籍の挿絵や装丁、浴衣などのデザインなど、今日のグラフィックデザイナーとしての才能をはじめ、詩や童話などの創作でも知られる多彩な才能を発揮した人でもあります。

「セノオ楽譜」表紙画は、ロマンチシズムに溢れる夢二の斬新で大いなる創造性が好評を博し、夢二の名声をたかめました。夢二といえば「大正浪漫」が代名詞のようでもあるけど、大正という時代と夢二の世界をさらに知ることができますので、どうぞ手に取ってお楽しみください。
セノオ楽譜とは、西洋音楽の普及に努めた、妹尾幸陽が明治43年より発行を始めた楽譜集でその数は1000曲以上にも及んでいます。
その内で、夢二は大正5年より昭和2年ま での12年間に、280曲以上もの表紙絵を手がけました。題名のレタリングを含め、グラフィックデザイナーとしての才能が最も発揮された作品群となってい ます。

斬新でモダンな感覚が溢れ、楽譜を求める人ばかりか表紙の「意欲的な思い切った」デザインに多くの人が惹かれた。また、夢二自身の作詩によるものが 24曲含まれており、中でも有名なのが大正7年に発表された「宵待草」です。
1ページに絵が一枚、大きく掲載され、まさしくもう一つの夢二の世界をゆっくり楽しめる特別展示といったところです。


竹久夢二「セノオ楽譜」表紙画大全集
監修 竹久みなみ(竹久夢二の孫)

出版社 国書刊行会 全347頁+作品一覧表10頁
厚さ3.3cm 豪華大型本   定価 8,925円(税・送料込み)