和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

シーサーの魅力

湧田弘作 小・中獅子(フセ)


シーサーといえば、今や沖縄のシンボルのようになっていて、知らない人はいないのではないかと思います。もともとは中国から渡ってきたらしいのですが、獅子(ライオン)をかたどった魔除けの像ですよね。19世紀末に、沖縄の民家に赤瓦を使うことを許されたときに、屋根に獅子を据えて魔よけとする風習が一般に広まっていったのだそうです。それが今や空港のホールや国際通りの入り口に飾られるなど、すっかり沖縄の観光シンボルになってしまいました。

そういえば、ユニークな表情をしています。魔除けであるからには、強くて怖い顔をしてはいるのですが、どこか憎めない暖かい表情に見えるのは私だけでしょうか。沖縄の人たちの勇壮で、しかし心暖かい心情を反映しているのかもしれません。

沖縄にシーサー、つまり獅子の像が最初に伝来したのは、やはり首里城周辺ということで、貴族階級に受け入れられたものでした。たとえば、首里城内の瑞泉門の石獅子は、本土の狛犬のように左右一対で、ずいぶんといかめしい顔で城を守っているように見えます。
また、村落獅子と呼ばれる集落の入り口などに置かれた石獅子などもあり、最初は屋根の上からにらみを利かせるという形ではなかったようです。その屋根獅子のルーツは、やはりこれも首里城で、正殿の鬼瓦として対で用いられた獅子面とのこと。それが庶民に広がったのは、瓦葺きの普及から。形式を貴族の獅子像にならい、村落獅子の民間信仰的な意味合いを持たせたものだと思われます。

いずれにしても、そのユニークで魅惑的な姿形は、沖縄を象徴するものとして、欠かすことはできません。現代では魔除けというよりも装飾的な意味合いで、いろいろなところに飾られているようですが、その像をつくづく眺めているうちに、思わず私も家に一つ、インテリアとして置いてみたくなりました。

スタッフ:MORI