和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

シンプルだけど奥深い藍染めの世界

先日、東京・市ヶ谷で開かれていた藍染めの展示会に行って来ました。

日本の染め物の中でも藍染めは、素朴で暖かい風合いが魅力で、私も大好きな染めの一つです。一見シンプルでありながら、それだけに力強さを感じるところがいい。しかし、見た目とは違って藍染めって、ほんとに奥が深くて複雑だってことが、この展示会で分かりました。

展示会ではセーターやタペストリーなど、魅力的な藍染めの品が並んでいましたが、この展示会の主催である阿波藍普及振興会の代表、外山正氏にお会いすることができました。この方は、日本で初めて阿波藍100%によるウール染めを完成させたことでも有名な方です。

「藍は人工の染料と違って自然の暖かさがあるでしょ?その暖かさを活かすのは、やっぱり手織りの布なんです。機械織りでガタンガタン目を詰めて織ったものにはなかなか藍が染まっていかない」
そうおっしゃって見せていただいたのはアフリカの手織り生地に藍で染めたタペストリーでした。手で触るとふんわりと柔らかい。そして染めの風合いも優しい仕上がりになっていました。

また、「藍染めは何回も何回も染め重ねないと美しい染め上がりになりません。それは神様が人間に、自然と共に暮らすためには、こうして努力を重ねないといけないよっておっしゃっている気がするんですよ」とも話されたそのお顔は、実に柔和でした。そして何か、この優しさが藍の優しい風合いと相通ずるものがあるなと思いました。

ちなみに明日から東京・銀座松坂屋の7階催事場で「秋・冬の阿波藍染展」が開かれます。お時間のある方は、ぜひその本物の藍染めに触れてみてください。藍染めの良さがきっと分かっていただけると思いますよ。

スタッフ:MORI