和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

伝統を未来へ

先日の文化の日、木曜日の記事に紹介されていた田村正主演「和紙の音色」の上映会と「神楽坂まち飛びフェスタ2006」に行って来ました。

上映会のほうは、小さなドキュメンタリー専門館での上映でしたが満席。田村師匠もいらっしゃっていて舞台挨拶もされました。内容は紙づくりの過程を紹介するものでしたが、タイトルの「和紙の音色」とは、紙を漉くときの音で紙の出来の善し悪しが分かるという師匠の言葉から来ているようです。水と楮とトロロアオイが奏でる微妙な音を聞き分けること…紙漉きって、奥が深い世界だということが、何となく素人の私にも感じられました。千葉に師匠の工房があるのですが、そこは実にのどかな風景で、都会からも離れた静かな環境でした。だからこそ、微妙な「和紙の音色」も聞くことができるのですね。

上映会が終わり、食事をした後、「神楽坂まち飛びフェスタ2006」へ。神楽坂は伝統のある街ですが、このイベントは“まち全体がアートスペースになる企画”ということで、「神楽坂通り700mをキャンバスとする路上イベント〜坂にお絵描き」が人気。今年も特に子供達が、わいわいがやがやと思い思いの絵を描いて楽しんでいました。

そんな神楽坂通りを上がったところにある神楽坂毘沙門天の境内で開かれていた田村師匠による紙漉き体験教室。会場へ行くと、すでに何人かの人が楮の皮をむくのに挑戦していました。これもなかなか大変な手作業で、白い紙を作るためには、やはりきれいにむかなければなりません。でも、この手間がいい紙を作るためには必要なんですね。先ほど映画で観た紙漉きの行程を実際に目にすることができて、実感できました。

日本の伝統である和紙、そして伝統の街神楽坂。和紙の技術を未来に残して行こうという試み、そして伝統の街が現代から未来まで発展して行こうとする試み…。どちらも興味深く、なかなか楽しい一日でした。

※田村師匠の紙漉き体験教室は「和楽多屋」で紹介しています。
 ⇒ http://warakutaya.com/taiken_kyousitu.html

スタッフ:MORI