和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

記憶の断片

ときどき幼い頃に見たあるシーンが蘇ってくることがありませんか。それは、私の場合、土手の上から見た夕焼けだったり、マンガ映画のワンシーンだったりするのですが、前後の記憶はないのに、そのシーンだけが、妙に生々しく鮮明に浮かんでくるのです。最近は年のせいか、昨日食べたご飯でさえ思い出すのに苦労することが多いのに、これはいったいどういうことでしょうか。

専門家ではないので、詳しいことは分かりませんが、記憶のメカニズムは、まず見たり聞いたりしたことを、「即時記憶」としていったん脳の中にとどめ、少しでも興味があれば「短気記憶」として記憶されるのだそうです。さらにその中から脳の海馬という部分に蓄えられる「中期記憶」が選ばれ、その中でも反復してその記憶にアクセスされたものが「長期記憶」として側頭葉に蓄積されるのだとか。

突然昔のシーンが蘇るのは、きっとこの「長期記憶」に蓄えられた記憶だと思うのですが、前後の記憶がないということは、そのシーンばかり、たびたび思い出しているんでしょうね。よほどそのときの印象が強かったからでしょうが、今思えばたいしたことがないと思われるシーンもけっこう多い(^^;

でも、そのシーンを思い出したとき、ふと幼い頃の自分に出会えたような懐かしい気持ちになってしまいます。大人になると、それなりに人生にすれてしまうわけですが、そういう純粋な頃の自分を、ときに思い出すのも悪くないことかもしれません。

和楽多屋スタッフ:MORI