和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

日本文化は異文化?

今、ベストセラーになっている本のひとつに『日本のしきたり』というのがあります。内容は、昔ながらの年中行事のいわれや方法、結婚式やお葬式のやり方について、丁寧に解説したノウハウ本です。

本来なら、こういった内容は、おじいちゃんやおばあちゃん、あるいはお父さんお母さんから、伝えるべきもので、日本人として基本的な教養というべきものでしょう。

しかし、こういう本がベストセラーになるということは、そういう決まり事を伝承するシステムが、日本の社会からなくなりつつあるということの証しかもしれません。そういうことを自分の親や祖父母からではなく、本などのメディアから学ぶ世の中になってしまったようです。

今“和”が見直されている、といわれるのも、この脈絡から考えると、喜んでばかりはいられません。本来“和”なるもの、日本の文化や伝統は、見直すものではなく、脈々と受け継がれていくべきものです。それが流れが途絶えてしまったから、改めて見直さなければならないわけです。つまり現代人にとって、“和”は、ある意味異文化としてメディアなどに教えてもらわなければいけなくなってしまった…?

いえいえ、あまり悲観的なことを言うのはやめましょう。文化や伝統は何千年と伝えられてきたものです。たかだかここ数十年途絶えたからといって、なくなるものではありません。きっと日本人のDNAに深く刻み込まれたものであり、忘れたものを今思い出しているだけなんだと信じたいものです。

和楽多屋スタッフ:MORI