和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

京都時代祭

京都の三大祭りといえば、5月の葵祭、7月の祇園祭、そして来週月曜日(22日)に行われる時代祭です。その中でも時代祭が一番歴史が浅く、明治28年に平安遷都1100年を記念して平安神宮が造営されたときから始まったのですね。葵祭の起源が6世紀、祇園祭が9世紀ですから“時代祭が一番歴史が浅”いというよりは、時代祭だけが飛び抜けて新しいわけです。

というのも、幕末から明治へと時代が移ったとき、京都は荒廃の中にあったのです。政治や経済の中心は東京に移ってしまいましたし、「文明開化」は、古い日本の伝統を軽視することでもありました。京の伝統とともにあった数々の優れた仏教建築や仏像は「廃仏毀釈運動」によって破壊され、人口は減少し、すっかりさびれてしまっていたのです。

しかし京都市民は何とか京都の復興へと立ち上がり、平安遷都1100年を期に、さまざまな再興運動へと取り組みました。平安神宮造営、内国勧業博覧会開催、チンチン電車の開通、そしてこの時代祭の始まりです。つまり時代祭は古きよき京都、いやよき日本を見直すきっかけでもあるお祭りなのですね。

時代祭は、明治維新から始まって時代を逆戻りして平安遷都までの歴史絵巻きを再現したものです。きちんとした時代考証にもとづいてつくられている衣装は圧巻で、豊臣秀吉織田信長、さらに古くは楠木正成坂上田村麻呂も登場し、歴史人物図鑑を片手にどれが誰かを当てるのも楽しみのひとつでしょう。

時代祭は明治の人たちの心意気がこもったお祭りですが、現代の私たちも、もしかしたら、もう一度古きよき日本を見直すべき時期にきているのではないでしょうか。最近の世相を見ていると何となくそう感じてしまいます。

和楽多屋スタッフ:MORI