和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

蜻蛉の話

火曜日の記事で「印伝」のお話をしましたが、『和楽多屋』の印伝シリーズご覧いただけましたか? その中で「三方クラッチ財布」というのがあり、その柄が“トンボ”であったことにお気づきになった方はいらっしゃいますでしょうか?

今日はその「トンボ」の話。

トンボの柄は、特に戦国時代の武士には好まれて、兜、陣羽織や印籠の装飾に多く使われています。それはトンボは“勝ち虫”と呼ばれる縁起物だからなんですね。それはトンボが前にしか進まず(進めず?)、「不退転(退くに転ぜず、決して退却をしない)」の精神を表すものだからです。さらに幼虫(ヤゴ)のときは甲冑のような姿をしていて、成虫になると獲物を捕らえたまま空を飛ぶ姿の勇ましさから名づけられとも言われています。

そういえば子供の頃、虫捕りに出かけたとき、チョウチョやバッタはたくさん捕れるのですが、トンボはすばしこくて、なかなか捕れなかったことが思い出されます。それだけ飛行能力が高いのでしょうね。

さらにトンボの目は一見、二つのようにですが、実は複眼になっていて、1万個以上の目が集まって一つの目になっているわけです。これは今で言えば、1万画素のデジカメというところでしょうか。まあ、デジカメとすると画素数は少ないかもしれませんが、頭のほとんどが目で、視界はほとんど360度。つまりどこに敵がいても、すぐに攻撃ができるというスグレモノです。まるで戦闘機がレーダーをもって飛んでいる感じですね。

そのトンボの目に似ているところから名前が付けられたのが「蜻蛉玉」。『和楽多屋』では蜻蛉玉の銀簪でご紹介しています。これから年末年始、和服をお召しになったときに、蜻蛉玉の銀簪を髪飾りにするのもいいですね(^^

http://www.warakutaya.com/ginzaiku.html

和楽多屋スタッフ:MORI