和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

手漉き和紙体験第3話

手漉き和紙体験第3話です。



第2話では原料作りで一杯でしたね。未だにたたく作業の時、先生が歌っていた何ともいえない響きが伝わってきます。如何に大変かが分かってくれましたでしょうか。いや〜無理かもね!!実際、皆さんもためしてガッテン!でいかがでしょうか。これからが大変な作業が一杯ですよ。チームワークが一番です。



そして次は、「こうぞ」を叩いて叩いて均一になって!繊維状になってやわらかくした樹木に天然のり[トロロあおい」を加えた。これが又凄い!ヌルヌルって知っていますか。樹木を煮出して出たものです。全部材料は天然物です。すごいですね。それを水が入っている桶というか箱!に入れヌルヌル樹液を入れ「こうぞ」と混ぜる、と「紙の素」が出来ます。この段階でよく見ていた紙漉きのあの映像です。



まだまだこの混ざった物をゆっくりと混ぜていく、これもまた3人で交代しながらゆっくりと丁寧に…。精神の統一ですね、何でもそうですが3人のチームワークがとれないと均一の物ができません。しっかりと混ぜながら汚れた物を除去しながら、ゆっくりと…。さて、一定に馴染んできたら、木枠に入れて紙漉きが始まります。入れては出し、入れては出し、の繰り返しを5〜6回。そしてすばやく丁寧に木枠から剥がして行く。ここできちんと丁寧に置いていかないと空気が入ったり、はがれたり、よじれたりします。



今回の体験で1枚、私の紙で失敗があります。この段階でよじれました。いかに、精神の統一が無かったか!恥ずかしい限りです。この繰り返しを3人が5枚作り上げました。それで終わりではありませんよ、重ねて置いた出来立ての紙を、まだ柔らかくしなやかな紙を一枚ずつ剥がして行きながら板に張っていきます。そこで一応の作業が終了です。後は乾いていく状態を見ながら完成品になりますが!その日には出来ません。そうですよね!でも教室はここまでです。作業の跡片付けを3人できちんと丁寧に、又次の教室で使えるようにします。永〜い時間でした(たった4〜5時間だったが)。途中での作業を街の皆さんが見ていきます。恥ずかしいやら、気持ちいいやら!



先生の教室には沢山の人達が体験をしているのがしみじみ分かった!楽しかった、面白かった、難しかった、自分だけ世界で一枚の自分だけの紙が出来上がります。「体験して良かった」と自分では思った。3人もそう言った。今日突然知らない人が3人で助け合って紙を仕上げた。多分この瞬間は忘れないと思います。因みに田村先生の紙は千年もの間、保存が可能な強靭な紙であると言われています。伝統を守って継承されてきた技法を、今日私達3人は学んだ(少しだけど)。紙作りは昔からのプロセスは変わっていません、とも言いました。技術革新はこの世界は必要ないとも言い切った。

田村先生は世界を飛び回って紙漉きを教えている日本人です。田村先生は「紙は日本の文化にとって大変重要であり、日本人のアイデンティティそのものです。自分が成功しているこの技術は、2000年以上に亘り息づいてきた物です。それを大事にしているからこそ、この仕事を通じて幸福を感じるのも、そこに理由があります。」



浅草のボーイ 感謝感謝の体験でした。