和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

テレビドラマらしいテレビドラマ

10月になるとテレビでは番組改編で新しいドラマがいろいろ登場しますね。何か面白そうなドラマはありましたか? 私は最近はあまりテレビドラマを見ません。というのも、やはり視聴率重視で、数字のとれるタレントに頼ったり、あまりドラマとして面白いものが少ないように思えるからです。まあ、あれだけ数があるのですから、みんながみんな面白い作品なわけはないのですが…。

私がかつて見たテレビドラマの中で、印象深かったものの一つに「6羽のかもめ」があります。1974年という30以上前の古いドラマだし、視聴率も7%と振るわなかったので、おそらく誰も覚えていらっしゃないと思いますが、シナリオはあの「北の国から」の倉本聰氏です。

内容は、団員の大量脱退から300人から6人に減ってしまった劇団かもめ座に残った役者バカでお人好しのメンバーが芸能社会で生きてゆくのに四苦八苦する姿を描く「悲しいコメディ」。芸能界の楽屋オチというような内容も多かったので、一般にはあまり受けなかったようですね。

でも、私が印象に残っているのは、やはりそのシナリオの巧妙さです。まさにテレビドラマのためのシナリオでした。映画と違ってドラマチックなストーリーではなく、あくまで日常の些細な出来事を描くことによって人間の情を描くという手法。たとえば、普段堅物のある会社の部長がゴルフコンペの商品、当時としては高嶺の花であった洗濯乾燥機を手に入れようと思わずズルをしてしまう…(それは長年苦労をかけた奥さんに対するプレゼントにしたかったのです)。ご大層な“正義”でも“愛”でもない、普通の生活のちょっとしたエピソードにすぎません。でも、それこそテレビという日常生活にとけ込んだメディアの得意とするところではないでしょうか。

でも、最近ではテレビもワイドサイズになったり音響もよくなったりして、映画のような雰囲気を味わえるようになりました。そうなるとまた、テレビドラマのあり方も変わるのかもしれませんね。

和楽多屋スタッフ:MORI