和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

梅と桜

そこかしこで梅のたよりが聞かれ、梅まつりもいろいろ行われているようですね。まだ寒い日が多くて春が待ち遠しい今日この頃、梅の花を見ると何となく来るべき春に向けて期待がふくらみます。

梅に似ていますが、イメージがまるで違うのが桜です。

梅のほうが一足先に咲くからか、その美しさは“凛とした”というような形容詞がよくつき、クールで引き締まったイメージがあります。一方桜の美しさは“華やか”という形容詞がぴったりなようです。

美しさの上では、どちらも甲乙つけがたしでしょうが、どうしても桜は、万事派手好きの太閤秀吉が醍醐の花見を行って以来、わいわいがやがや集団で見るイメージがあり、梅は一人あるいは小人数で、心静かに鑑賞するというイメージがありますよね。

そう考えると、梅はどちらかというと陰気。しかしそれだけに、昔から霊木とされ、神秘的なパワーがあるとされます。これは古来中国の考え方から来ているのですが、まだ寒さが厳しい中でも、美しい花を咲かせるところからそういう不思議な力があるとされたのでしょう。

「東風吹かば にほひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」
これは学問の神様で有名な菅原道真太宰府へと左遷されときに詠んだ歌ですが、その道真の愛した梅が、主を慕って一夜にして京都から太宰府に飛んできたという”飛び梅”の伝説があります。

陽気な桜とどちらかというと控えめでありながら、底知れぬパワーがある梅、あなたはどちらが好きですか?

和楽多屋スタッフ:MORI