和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

うまいかまずいか

味覚に個人差があることは、誰でも知っています。自分がおいしいと思ったものでも、人によっては、そうでもない場合なんて、よくあることです。それでも人は「うまい」「まずい」を人に言いたがり、ときには「これ絶対おいしいから食べてみて!(そして食べるのを見ながら…)ね、ね、おいしいでしょ!」なんて、自分の味覚センスを人に強要するときすらあるのです。

確かに10人いれば、7〜8人までは「うまい」というものもあり、プロの料理人とは、そういう料理を作れる人のことをいうのでしょう。しかし、それでも1人や2人はそう思わない人がいるのですから、味の世界は難しいですね。

自分がうまいと言ったもの、それを人からいくらまずいと言われようが、好みの問題だからかまわないはずです。しかし、それがなかなかそうはいかない場合もあります。まずいと言われることが、自分の味覚センスのなさを露呈するようで、なかなか言いだせない人もいます。特に高名な料理評論家がうまいと言ったものを、「まずい」とは、なかなか言えないものです。そういう人達は、料理を食べる前に、“評論家の意見”という情報を先に食べているわけです。確かに評論家ともなれば、一定水準以上のうまいものをたくさん食べているでしょうから、そう外れたことは言わないと信じたいところですが…。

逆に自分の味覚を絶対だと信じて譲らない人もいます。そういう人は「うまさ」には様々なバリエーションがあるということを知らない人か、知っていても認めたくない人でしょう。あるフードライターは、料理の特徴や分析はするけれど、絶対「うまい」「まずい」は言わないそうです。自分の社会に対する影響力の強さをよく知ってのことで、それはそれで一つの見識と言えるでしょう。私は…そうですね、人が「うまい」と言おうが「まずい」と言おうが、とりあえず自分でたべてみなきゃ分からないということで、どんなものでも食べちゃいます。え?それは単なる食いしん坊なだけだって? はい、あたりです(^^;


どれが“うまい”か“まずい”か?
(「和菓子」型染版画 伊藤紘作 こちらから…http://www.warakutaya.com/katazomehanga.html) 

和楽多屋スタッフ:MORI