和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

「もったいない」のお話の2

割り箸が地球の森林資源に影響するということで「マイ箸」を持ち歩く人もいるそうですね。割り箸は年間約250億膳使われていて、30年前と比べて倍増しているそうです。

しかし本来割り箸は間伐材を有効利用したもので、環境に悪くないんだという意見もあります。ところが、それは昔の話、現在ではそのほとんどが中国などの海外からの輸入に頼っていて、割り箸のためだけに森林が伐採されることもあるとか…。こうなると問題は大きいですよね。

ナイフやフォークは洗ってまた使っても平気なのに、どうしてお店で出す箸のほとんどは割り箸で使い捨てされるのか。それは、日本の文化に大いに関係がありそうです。

箸は日本の家庭では、自分の箸を決めていて、家族と言えども他の人が使うことはあまりありません。それは同じ箸の文化を持つ国(中国や韓国など)の中では日本だけのようです。それは単に清潔好きということではなくて、箸を使うとそこに自分の霊が宿ると考えられてきたからだといいます。だから割り箸を割るという行為は、外で箸を使うときは、まだ誰も使っていない新品の箸を使い、終わったら折って、魂を自分に取り戻すという意味もあるのだとか。

歴史的に見ると割り箸は、外食産業が発達した江戸時代に生まれ、明治、大正になって広く利用されるようになりました。意外とその歴史は新しいわけですが、これだけ定着したのは、先ほどの“魂が宿る”という日本独特の文化に根付いたものだったからでしょう。

もしそうなら、「マイ箸」という考え方は、非常に理にかなっていて、環境問題にも日本の精神社会にも合致した運動だと思います。「もったいない」から始まって、魂の問題に触れる…、なかなか箸の文化には奥深いものがありますね(^^

スタッフ:MORI