和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

和の話芸

テレビで演芸番組は今でもありますし、いわゆる“お笑い芸人”と言われる方々は大活躍されています。タレント好感度調査でも、最近ずっと上位は明石家さんまさんなどの“お笑い芸人”の方々ですね。



しかし、それはテレビというメディアでのことであり、なかなかそれで演芸場へ足を運ぶということは少なく、ましてコントや漫才ではなく、落語となると昔に比べてちょっと寂しい状況のようですね。



落語は日本独特の話芸です。演者はひとりだけ。小道具も扇子に手ぬぐいくらい。それで何人も人物が登場する物語を時には1時間以上も演じるのですから、たいしたものだと思います。昔の講釈師が語る講談なんかも同じように一人で物語を語りますが、これはまさに“語り”。小説で言えば地の文がほとんどなのです。それに比べて落語は会話の部分がほとんどで、これで物語、というより芝居を演じ、笑わせるという芸です。それには声音や目線、扇子や手ぬぐいを見事に使い分ける芸が必要で、なかなか若いときにすぐに身につくものではありません。長年の修行が必要です。そういうところが現代には受けないのでしょうね。



しかし、じっくり聞くと、実にいろんな要素がからまっていておもしろいと思います。コント、漫才、芝居的要素はもちろん、映画やドラマ的な要素もあったりします。奇想天外なお話はSF映画、恐い話はホラー映画、人情話は名作映画といえばいえなくもありません。そして古典落語からは、当時の風俗を知ることができる歴史の教科書ともいえるのではないでしょうか。



休日、少し時間のあるとき、ふらっと寄席へでかけてみるのもいいかもしれませんよ(^^



和楽多屋スタッフ:MORI