和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

型染版画とは?


極めて大まかながら、型染の歴史をたどってみよう。
型の材質は古くは木が使われたようで、奈良時代正倉院の御物に摺絵や臈纈(ろうけつ)、夾纈(きょうけつ)の意匠が伝えられていて、宝物展や書籍などで眼にされた方もあるだろう。
木型の最古のものは、富山県の遺跡から奈良時代末期(八世紀)のものが、出土している。また法隆寺厳島神社にも木型が残っているという。
型紙は正倉院に吹絵紙が伝えられ、文様を切り抜いた上から、絵具の飛沫をかけて文様を白抜きにするという、今の霧吹き染めがある。
時代を経て、和紙を柿渋で貼り重ねた型紙(伊勢の型紙が有名)と防染糊による型染が、衣裳の応用の幅を飛躍的に発展させたと言っていいだろう。特に繰り返しの文様は、小紋染が武家の正式な衣裳から発展し、今日では女性たちも着こなす江戸小紋として、多く眼にすることができる。
小紋に対して大きめの柄、中柄として中形があるが、これは今でも浴衣の文様としてお馴染みのものだろう。
また防染の役割を持つ糊に逆の効果をもたらした、染料を加えた色糊を用いた型友禅の開発は、一品製作の高級品だった友禅染の量産を可能にした画期的な出来事もあった。沖縄独特の紅型(びんがた)も多彩な型染として多くの愛好家がいる。
現代の型染のこうした伝統的な技術を守り、その美しさを伝承する江戸小紋長板中形などの彫り・糊置き・染め、それぞれの工程での専門家の高度な技術は、日本ならではの誇りである。
そして型染のもう一方に、芹沢氏を始めとした型絵染がある。作家が下絵から染色までの全工程を行うことで、独自で自由な作品を生み出している。これらはどちらかというと、用よりも個性を押し出す雰囲気を持ったものが多いと言えるだろう。ここに掲載した版画も和紙に染め、額装したということ以外すべて同様の手法での作品である。
版画と言うと一般的に木版画が主流のようだが、このように日本の伝統的手法での型染が見直される機会が増えれば、幸いである。(伊藤 紘)
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