和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

風情について

日本の美意識の一つに“風情”があります。

鄙びた宿でなかなか風情があるね」とか、「晴れもいいけど、雨もなかなか風情があっていい」とか、言いますよね。



儚いもの、移りゆくもの、質素なものの中にある種の美を見つけるのが日本人は得意なようで、どちらかというと曖昧ではっきりしないものを好むようです。それはいいところでもあり、反面、特に外国の人たちから見るとはっきりしない態度だとマイナスのイメージをもたれる要因になっているのかもしれません。



そんな日本人の気質には、日本は四季の移ろいがあること、それだけに微妙な変化に敏感ということが挙げられるだと思います。そして自然と調和し、謙虚になることにより生きてきたという背景もありますよね。



「和」は「やわらぐ」「なごむ」「あえる」で、決して戦って勝敗を決することを善しとしません。白黒をはっきりつけず、ソフトに調和することを善しとしてきました。

区別をすることが科学的なら、調和することは哲学的とも言えるかもしれません。そして科学が今日の戦争や抗争、環境問題を生み出したのなら、それを救うのは哲学に他なりません。



“風情”はそんな日本人ならではの美の一つです。それはやはり誇るべきことではないでしょうか。



和楽多屋スタッフ:MORI