和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

稲刈り

稲刈りは、稲作文化の日本にとって、とても重要ですよね。そういえば昔勤めていた会社の本社が稲作地帯の近くにあったため、どんなに会社の仕事が忙しくても、稲刈りのシーズンだけは堂々と休みをとって家の仕事を手伝う社員の方がたくさんいました。町中に育った私には、それが非常に珍しく感じたことを思い出します。(もちろん田植えのときも大量の社員がお休みをとります)

日本で稲作が始まったのは、かつては弥生時代とされましたが、近年になって縄文後期から始まっていることが、遺跡の発掘で明らかになりました。まさに日本人は、その歴史が始まってからずっと稲作を行っているわけで、しかもその方法の基本(水田)は、最初から変わっていないというのだから、驚きです。

よく西洋との文化の違いが言われますが、狩猟民族とされる欧米と、農耕民族の日本とでは、何千年という経験の積み重ねが違うわけですね。

私のような米作りに関わってこなかった人間でさえ、たまに田に金色の稲穂が風になびいているのを見ると、なぜか心が晴れやかな気持ちになるのは、苦労の末に秋になると収穫の喜びを味わってきた、永年の日本人のDNAが受け継がれているということでしょうか…。


稲穂の波『型染版画 伊藤紘』より

和楽多屋スタッフ:MORI