温泉と日本人
昨日ニュースで、昭和記念公園で紅葉が始まったと伝えていました。まあ、先日は北海道などでは雪も降ったわけで、気候はすっかり冬へと向かっているようです。
そうなると、日本人として恋しくなるのは温泉。少し熱めのお湯に入って、体全体がじんわり温まっていく快感は、温泉好きの日本人ならではのものかもしれません。
日本は火山国なので、古くから温泉の利用はさかんだったようです。文献でも『日本書紀』や『万葉集』などにも、有馬温泉や、道後温泉、白浜温泉などの名前が出てきます。戦国時代にも、信玄の隠し湯などというエピソードがありますよね。
どうして日本人はこうも温泉好きなのでしょうか。そこには意外にも日本人の宗教観が関係しているように思えます。
温泉はかつて怪我や病気に効く「神の湯」と呼ばれていました。もちろん古代の日本人は実におおらかだったようですから、神聖な場所であると同時に、楽しむ場所でもあり、温泉で飲めや歌えの宴会を開いていたようですが…。
温泉は、神話にも禊(みそぎ)が行われる場所として登場し、仏教が伝来してからは、薬師如来信仰と結びついていたこともあります。
それだけ日本人にとって温泉は特別な存在だったのですね。
現代人の多くは、温泉に特別な宗教観は持っていないでしょうが、歴史の中で培われてきた中で、深層意識に眠っているものがあるのではないでしょうか。
病を癒し、ストレスを癒す特別な(神聖な)場所として、温泉は日本人の心に深く刻み込まれているような気がします。
和楽多屋スタッフ:MORI