和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

絵も、生き方もカッコいい。日本の誇り北斎。

富嶽三十六景の「山下白雨」「凱風快晴」と「神奈川沖浪裏」を入れての、3枚の絵は浮世絵を代表する作品で北斎漫画と、ともにやはり外国でも一番人気。

「山下白雨」(さんかはくう)は「黒富士」、「凱風快晴」(がいふうかいせい)は「赤富士」と言われていますが「富嶽三十六景」では、そのほとんどが晴れの景色で雨の富士は唯一「山下白雨」この作品だけだということも知りました。その「山下白雨」でさえ、富士の頂上は晴れています。 夏の夕立の風景を描いていますが、山頂の晴れと山下の雨とが対照に描かれ、「凱風快晴」と同じく、富士そのものを描いています。

「凱風快晴」は夏の南風によって快晴となった青空と富士が朝焼けに赤く染まる瞬間を描写してます。 赤富士といわれるのは、太陽に赤く反射する山肌の色からきており、富士登山の目的のご来光をここに仰ぎ見ることができたわけですね。

「神奈川沖浪裏」は近景の左手に、富士に似た三角の波が描かれています。その手前に船が進んでいて、その波の奥のもう一艘の船に襲いかかる大波に向かっています。よくぞここまで描けたものだと何回みても凄い迫力でカッコいいです。そして遠景の一番奥の船は富士の前を進んでいますがその富士は実は波の一つにも見えます。近景左手に、富士を思わせる三角の波が描かれていますが、 そこに大波の円運動があり、三角だけでなく、丸をも構図に取り入れ、○△のデザインに注目ですね。 
知ればしるほど、単なる浮世絵作家ではないことがわかってきます。
90歳近くまで自分の絵をつきつめていった天才にして奇人。手がけた分野もケタ外れ、死に際に「せめてもう10年、いや、あと5年でもいい、生きることができたら、わたしは本当の絵を描くことができるのだが」と嘆いたという。高齢化が騒がれる現代にあって、その生き方もカッコいいですね。