和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

「祭」─“ハレ”の効用

世界にも「祭」はたくさんありますが、日本にもほとんど毎月と言っていいほど、日本のどこかで「祭」は行われています。

「祭」とは何でしょう。“ハレ”と“ケ”という言葉がありますが、“ケ”は「日常」を表し、“ハレ”はその逆の「非日常」を表します。つまり、普通の生活に対して、祭りという非日常の“ハレ”があるわけですね。かつてこの言葉は、柳田国男によって、“ハレ”と“ケ”の区別の仕方を、過去と現代において比較し、そこから時代の変化を読みとろうとした議論によって注目されました(実際によく知られるようになったのは。民俗学者和歌森太郎が着目してからのようですが)。

特に現代の東京などの大都市に暮らしていると、何やら毎日が“ハレ”のお祭りのように、どこかでなにがしかのイベントなどが行われているので、“ハレ”と“ケ”の区別はなかなか付きにくいようですが、過去の人々にとって、“ハレ”の「祭」は、日常のマンネリから心を救い出してくれる、大きなイベントであったに違いありません。心は高揚し、ストレスを発散させ、生きる力を再び甦らせる「祭」は、必要不可欠な社会装置でもあったわけです。

何やら話が難しくなりすぎましたね(^^; しかし、“ハレ”と“ケ”の区別が少なくなった今、それらをうまく使い分けるのも、現代社会を生きる上で必要なのではないでしょうか。“ハレ”とは、もともとの意味は「折り目・節目」ということです。節分や立春など、季節の折り目折り目に節季という節目を作ってうまく利用してきたのは日本人でした。“ハレ”をもう一度見直してみてもいいのではないでしょうか。

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スタッフ:MORI