和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

もったいないの心

先日、風呂敷を中心とした和雑貨を扱う山田繊維株式会社に行って来ました。東京・神宮前にある営業所兼アンテナショップには、さまざまな製品が並び、なかなかおしゃれな雰囲気でした。

京都に本社があるこの会社は風呂敷を中心に今、『もったいないキャンペーン』を展開中ということです。「もったいない」といえば、ケニアの環境副大臣ノーベル平和賞を受賞された、ワンガリ・マータイさんが環境問題を考える上で最もふさわしい言葉として世界にこの言葉を広めようとされています。

確かに一世代前の日本では、この「もったいない」という言葉が生きていました。何か物を捨てようとすると「もったいない、まだまだ使えるよ!」と親にしかられたり、「そんなお褒めの言葉をいただいて、もったいない」などという言い方が日常会話の中で使われていました。それが使い捨て時代、モノあまり時代になって忘れられた言葉になっていたところ、現代になって、再びよみがえったわけです。

「もったいない」─“粗末に扱われて惜しい”や“ありがたい”という意味をもつこの言葉には、モノに対する感謝の気持ちが込められています。モノは単に便利だから使うというだけではなく、モノの存在に敬意を表し、ありがたいと思って使うということ。だから粗末には扱えないわけですね。

日本人はその昔、自然のあらゆるものに神が宿るという考え方を持っていましたから、そんなところから、この言葉は受け入れられ、文化として定着したのかもしれません。心がないと思われるモノにさえ、心を感じて使う。「もったいない」は、そんな日本の伝統的な精神を思い起こさせてくれる言葉かもしれません。

スタッフ:MORI