和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

美のモノサシ

1円と10円ではどちらが高いでしょう? もちろん10円ですよね。では、エビちゃん押切もえではどちらが美人でしょう? これは意見が分かれるに違いありません。では蕎麦とうどんではどちらが美味でしょう? これも意見が分かれて当然です。

世の中には価値基準がいろいろありますが、“美”ほどあいまいな基準はありません。しかし、その“美”に値段がつく世界があります。たとえば、すっかり人気が定着して長寿番組になっている「○○鑑定団」のような、骨董の世界ですよね。もっとも美しさだけではなく、希少性やそのものにどれだけのニーズがあるかによるといったような、美とは別のモノサシで決まることのほうが多いようですが…。

知らない人が見たら、ただの茶碗にとんでもない値段が付いたり、非常に凝った面白そうな絵画が二束三文だったりして、出演者の一喜一憂する表情が面白くて、あの番組は続いているのでしょう。

これまで自分のモノサシで見て価値があるものだと思っていたものが、他人のモノサシで測ってみると、まったくガラクタだった…。しかし、考えてみれば、投資の対象にしているのなら別ですが、美を楽しもうとしているなら、自分のモノサシだけで充分なはずですよね。

それでも一度は他人のモノサシで見て欲しくなるのは、よく分かります。自分のモノサシと他人のモノサシが一緒かどうか、確かめたくなるのは人情ですからね。しかし、この“美”のモノサシは、自分のものも他人のものも、必ずしも均等な目盛りが打ってあるかは、保証の限りではありません。だからこそ“美”は魅惑的なのかもしれません…。

和楽多屋スタッフ:MORI