和楽多屋日記

伝統工芸・和雑貨の「和楽多屋」店長の日記。

合理主義の弊害

東京以外の方はピンと来ないかもしれませんが、東京を走る2つの地下鉄のうち、東京メトロの路線図が妙にややこしいのです。



というのも、新しい路線図は従来の路線名と駅名のほかに、それぞれに識別記号と番号がふってあり、それが同時に記載されているものですから、ただでさえ複雑な路線図に、路線名、駅名、路線記号、駅番号が入り乱れ、そろそろ老眼になりつつある私などには、ほんとに見にくいのです。地下鉄側の案内では、初めての人にも分かりやすいから、ということらしいのですが、私にはどうもそうは思えないのです。



確かに番号をふれば整理するには便利かもしれません。しかし、無味乾燥な数字で示されても、すぐにそれと分かる人は少ないのではないでしょうか。



同じようなことで住所も旧名がどんどん消えていって、新しい地名に無理やり変えられてしまったところも少なくありません。こちらは番号ではありませんが、整理のために人工的な名前があてられた感じで、合理主義の弊害を感じてしまいます。



だいたいそのようなことを考える人は地元の人ではありません。机上の理論だけで、地元に住む人たちの地名に対する愛着など考慮に入れていないのです。できれば、駅名や地名などなくして記号や番号で表記できればいいなんて考えているのかもしれません。



私は合理主義を否定しているのではありません。それも結構。でも、それだけで押し通してもらっては困ることもあるのではないでしょうか。物事に対する視点というものは多角的なはずです。合理主義も一つの価値観にすぎませんから、その価値観からだけしかみないで、その他の見方を無視してしまうのは、いかがなものかと思うのです。



和楽多屋スタッフ:MORI